バンドの解散と"シモキタのカフェ'
下北沢にあるGOPALというカフェが10月いっぱいで閉店する。短い時間ではあったが最後に入れてよかった。
下北沢は、今ではすごく近くに住んでるし、働いているけど、東京の外れの出身の自分にとっては"イケてるやつが週末古着屋でいい感じの服を買う超オシャレタウン"だった。
"シモキタ行こうぜ"
と誘われて初めて行ったのは高校3年生。
古着屋見たり、ライブハウスの前で興奮したり、そして、歩き疲れて喉も渇いたなーなんて言って、入るのである、
"シモキタのカフェ"に。
"シモキタのカフェ"という言葉の響きは田舎の高校生の自分にしたら、ギリギリポーズのグラビアアイドルみたいなもんで、とても刺激的でオトナで、恥ずかしくもあった。そんな胸中で飲めないブラックコーヒーを無理して飲んだ。初めて入った"シモキタのカフェ"はすごく居心地が悪かった。
大学生にもなると、バンドも始めたし、下北沢にはよく行くようになった。"シモキタのカフェ"にも、照れもなく入るようになった。ブラックコーヒーも、飲めるようになっていた。
ジミヘンカフェ
僕らはそう呼んでいた。
理由はジミヘンのポスターが貼ってあったから。それだけ。それだけで十分だった。そこのカフェに入る理由は。昔みたいな居心地の悪さは、全然なかった。それが年齢を重ねたからなのか、居心地のいいカフェだったかは、今になって分かる。
バンドのライブ前のミーティング
オトナの人とのウチアワセ
あの子とのデート
1人で考え事するとき
コーヒーだけ頼んで、ダラダラして、
ミニスカート見て、ぼんやりして。
閉店のニュースを知って、
あーもっとたくさん行っておけば良かったなーと思ったのね。コーヒー飲みてえ時にジミヘンカフェにすれば良かったなーって思ったのね。
バンドかよ。ってね。
解散のニュースを知って、
あーもっとたくさんライブ行っておけば良かったなーと思ったのね。音楽聴きたいときにライブ行っておけばよかったなーって思ったのね。
ってね。同じかよってね。ってね。
"いつなくなっちゃうか分からないから、見れるうちに見とかなきゃ"'じゃないんだよ。こればっかりは。仕方ないんだよ。とても仕方ないんだ。喉乾いてない時にコーヒー飲まないし、音楽聴きたくない時に聴かないもん。
必要とされてるか
なんだよな。結局ね。
もうあそこでぼんやりコーヒーを飲むことはないけど、たくさんの思い出があります。あそこで書いた曲もあります。本当にありがとうございました。お疲れ様でした。
下北沢GOPAL 愛を込めて。
バイトの面接手前まで話が進んだことは、ここだけの話。